モテる弁当男子が汁物用ランチジャーを買って乙事主になった話
基本昼は弁当を持参して食べるようにしている。
コンビニ弁当が嫌いだし、節約にもなるのでやらない理由がない。
晩飯を多めに作っておいて朝タッパーに詰めるだけなので特に手間にもならない。
習慣として定着した。
他の人がデザイン良さげな弁当箱を使っているのを見て、タッパーの味気なさに気づいたので弁当箱を買おうかなと思いつつ、買っていなかった。
日本一の倹約家の悪い癖である。
そんななか最近うちのばーさんが米を、ばーさんの妹が「これでなんかいいもの食べなさい」と5千円札のキラーパスを一緒に送ってくれた。
このチャンスを利用しなければ、倹約家の不動心はいつまでも頑なに節制に殉ずる。
というわけで弁当箱を買うことにした。
今シェアハウスに住んでいるんだがこの家にはコンロが一口しかないし、フライパンも大きくて底が深いもの一つだけで煮物も焼き物も作っている。
なのでカレーを食べたいのだけど、カレーをタッパーに入れて持っていくのはナンセンスだしフライパンが占領されてしまうので弁当用に別のモノを用意することもできない。
だから汁物も保温して持ち運べるランチジャーを買った。
温かいまま弁当を食べられるなんて、素敵じゃないか。
まだ冬だし寒いので味噌汁も作りたかった。
いい機会だしちゃんと出汁をとるところからやろうと思った。そんなのって素敵じゃないか。
Wouldnt it be nice The Beach Boys 日本語字幕付き) YouTube
ランチジャーで味噌汁を持っていった最初の試みは味噌汁の温めが不十分だったうえ、何食分に一度に味噌をといてしまうと後日食べる時に風味が飛ぶことを知らなかったので、あまりよろしくなかった。
めげずに次はカレーを作って持っていった。
普段朝は時間がなく午前中は大体腹を空かしている。
授業を聞きながらたまにはてなブログを読んでいると昼はすぐにやってきた。
ランチジャーをおもむろに取り出し、蓋を開ければ元気なカレーがこんにちは。
あったけぇ・・あったけぇよおおおお
俺はもののけ姫のいい男・アシタカを持て囃すたたら場の女たちのように歓喜した。
節約生活をしていても心豊かに暮らすのはけして難しいことではない。
ほんの少し手間をかけるだけで生活は部屋の隅から潤っていく。
カレーの成功に味を占めた俺は今度こそ出汁からとった味噌汁を持っていく。
味噌汁の種はタッパーに入れてとっておき、1食分のみ鍋に入れて味噌をとき、電車の時間を気にしつつ沸騰しないように気をつけながら、可能な限り温めた。
完璧な工程を経て、心豊かなホット味噌汁ランチはもう約束されている。
いつも通り授業を聞きながらたまにはてなブログを読んでいると、昼はすぐにやってきた。
ランチジャーを自慢げに取り出し、蓋を開ければ元気な味噌汁がこんにちは。
のはずだった。
いや見た目は確かに普通の味噌汁だしちゃんと温かいのだけれど、一口飲んでみると何かがおかしい。
カレー臭い。
味までカレー風味になっている。いやうまい棒じゃないんだから。
洗いが足りなかったのと、カレーの匂いが容器にこびりついていたためとんでもない科学反応を起こしていたのである。
もちろん取説の注意書きに匂いがつく可能性があると書いてあったのはチェックしていたのだが、そんなに問題はないだろうと高をくくっていた。
味噌汁とカレー風味の不幸な結婚によって、見た目は味噌汁のようで妙な味の混ざった美味しいとはとても言えない汁ものが誕生した。
その事実に衝撃を受けた俺はさながら猪の皮を被ったジバシリたちにおののく猩々たちのようであった。
「カレーのせいだ。カレーのせいでこのランチジャー終わりだ。」
「カレー破滅つれてきた。味噌汁でもカレーでもないもの連れてきた。」
「来たぁ!ランチジャーの終わりだぁ!」
しかしそれが何であれ食べ物を残すのはポリシーに反する。
よくわからないものを俺は猛烈な勢いで食べた。
それはさながらタタリガミ化しつつある乙事主のようであった。
「戻ってきた!黄泉の国からカレーが帰ってきた!」
「ブギイイ!」
「あついぞ!体が火のようだ・・」
錯乱する乙事主をなだめるサンはどこにもいなかった。
「サーーーーンッ!サンッ!どこだ!サーーーーンッ!」
私の心の中のアシタカが叫んでいた。
しかしサンの姿はどこにもなく、股間に鎮座するマイサンが遠慮がちに存在を主張するのみだった。
まぁ重曹とか使えば匂いとれるらしいんだけどさ。
値段は安かったし容量は充分満足するくらいは入る。
汁物は少なめだけど、昼飯は軽くでいいし。
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ただ取説には「匂いがつく可能性があります」みたいなポーカーフェイスなコメントじゃなくて「カレー、ダメ。ゼッタイ。」とか「カレー、カッコ悪い。」とかのようなしっかりした注意喚起をお願いしたい。